信長エピソード・ゼロ〜『天下人の父・織田信秀』
織田信長があらゆる意味で革命を起こした人物だってことは誰だって知っている。
でも、なんでそれを実現する力を持っていたのか、なんで織田家には金と権力があったのか。
それを知っている人はほとんどいない。
そんな織田信長のエピソード・ゼロを教えてくれるのが『天下人の父・織田信秀』です。
信長のジイさんが最初の一歩を踏み出し、それを父ちゃんがほぼ1代で圧倒的な規模に育て、最後にフィニッシュとして信長が全国に知れ渡る人物となる。
この過程がとてもよく分かる本でした。
父ちゃんの信秀は政治・外交・経済、全てがすごかった。
もちろん優れた大名は他にもいるわけで、だからこその戦乱の世。全てがうまくいったわけではないけれど、でも失敗したときの立ち直りも名将そのもの。
そんな中でも、津島と熱田の2つの巨大商業都市を支配し、その経済活動を奨励したこと。
これが織田家の基盤となり、また信長の経済政策の元ネタであったことがほぼ確信できました。
ここで「確信」と言ったのは、本書の内容はほぼマンガの『桶狭間戦記』で読んでいたものだったから。
そこで思い描かれた信秀・信長像に、ある程度客観的な説明が加わって納得感が生まれたというのが、本書を読んだ一番の感想でした。
特に本書はたくさんの人名が出てくる分、読みづらさもあるので、マンガとセットで読むのがいいです。
この本と、桶狭間戦記、そして井沢元彦氏の逆説の日本史10巻の3冊があれば、信長についてはだいたいのことが分かる。
あとは小説を読んでその人間味を感じたり、あるいは『サイコパス』等を読んで超人あるあるを見つけたりすることで、
自分の中での信長像を作っていくのが楽しいんじゃないかと思います。